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定年後 再雇用者の労働条件の設定について

● 定年後 再雇用者の労働条件の設定について

特定社会保険労務士の菊池直子です。

(令和3年3月1日より付記をしまして、特定社会保険労務士になりました)


さて、新年度になりましたね。

いわゆる「非正規労働者」とされる
雇用期間に定めのある契約社員、嘱託社員、
短時間労働者であるでパートタイマーと、

正社員(雇用期間に定めのない労働者)との処遇格差の是正を
めざした、日本版「同一労働同一賃金」の規定が盛り込まれた
「パート・有期労働法」が4月1日より、中小企業にも適用になります。

正社員と契約社員等は役割・責任・配置転換の範囲等は異なることが大半かと思います。

「うちは同一労働ではないので関係ない」と言われる方が多いのですが、
「同一」でない場合も、その職責等の違いに応じた処遇差となっているかどうかの確認は必要ですし、

契約社員やパートタイマー等から処遇差について説明を求められたとき、

会社は相談の窓口を決めて対応しなければなりません。

これらの規定は、定年後再雇用となった嘱託社員にも適用があります。


最近の裁判例では、地裁判決ですが、定年後再雇用となった自動車教習所の教官である労働者が、

定年前後で役割や仕事内容が変わらないのに処遇を大きく引き下げたのは違法である、
と判断したものもあります。

名古屋自動車学校事件:名古屋地判・令和2・10・28)

また、定年後の再雇用について、大幅な賃金の切り下げを提案した会社に対し、
65歳までの雇用継続を求める高年齢者雇用安定法の立法趣旨に反するとして、
会社に対し100万円の慰謝料の支払いを命じたものもあります。

九州総菜事件:福岡高判・平成29・9・7)

裁判例は、それぞれの事案に応じた判断となりますので
すべての事例が当てはまるわけではありませんが、
パート・有期労働法のが中小企業も含め全面適用となり
以前と異なり、60歳時点では年金の受給はできないため
(繰り上げ受給する場合を除く)
労働者の生活を考えると、定年になったからと言って賃金を大きく引き下げるのは、

労働者の生活を脅かすことにもつながりますので処遇を慎重に考えるべきでしょう。

なお、参考として国家公務員(労基法等の適用はなし)については、現在は再雇用でおおよそ定年前の6割の
賃金が支払われており、今後定年延長となった場合は7割として運用が考えられているようです。

参考)国家公務員の定年延長に関する法改正の概要
 

一概に「6割(もしくは7割)までなら下げられる」と理解するのではなく、
引き下げ後の賃金額が担当業務や本人の能力に見合ったものであるのかどうかについても検討する必要があると言えます。

定年後の労働条件については、定年前に当該労働者ともよく話し合いをし、
納得をして働いてもらえることをめざすようにしてください。

就業規則での「定年規程」の作成も承っております。


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特定社会保険労務士 きくち事務所  代表 菊池直子

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